第4話及び腰で始まる第二段階でドライブへの野望が生まれる
仮免試験は実は楽しい?
免許取得予定の皆さん、そしてペーパードライバーの諸先輩方、こんにちは。
日に日に運転の上達を喜んでいる、もとい、上達していると感じる喜びに満足している、当レポート主人公の高橋(仮名)です。
さて、今回はいよいよ
教習所外に出て実際の道路で教習を受ける、いわゆる「路上教習」のお話なのですが、その前にちょっとだけ「仮免」のお話を。
仮免とは、一般の道路で教習を受けることのできる特別な免許、仮運転免許のことです。
そして、この仮免を手にするためには、第一段階で習得した運転技術や知識を試験によって測られる、つまり仮免試験があるわけです。
技能と学力と、両方の試験がありますから、1日仕事ですね。出来のいい僕も、ちょっと疲れちゃった記憶があります。
私、自慢ではないのですが外見に似合わず大変ナイーブです。学生時代は定期試験があるたびに、必ずお腹を壊していたほどのナイーブ・キング。
ですから、この仮免試験前夜も食欲がわかず、家族に「優しく扱ってくれ」と宣言して、苦笑いで返事をされたほどでした。
結論から言えば仮免試験はトントントンと無事合格し、路上教習に至ったのですが、ここで敢えて仮免のお話をするのは、やはり新しい発見があったから、なのです。
仮免試験は、受験者が複数名で同じ車に乗って行われます。これは、何か不正があったらいけないから、ということなのだそうです(そういうところ、ちゃんとしていますね)。でもそういうシステムだけの話ではなく、他の受験生の運転する車に一緒に乗っていることもまた、自分の運転技術向上のためには必要だなあ、と感じました。
ここまでは、実はかなり自分のことで手一杯、という感じで教習を受けてきました。
進路変更のタイミングが少し上手くいかなかったとか、カーブ手前の減速がいいタイミングかつナイスな減らしっぷりで、かなり上手くいったとか。そういう小さな良し悪しを自分の中で確認して上達していく、それが第一段階の授業だったのですね。
でも、仮免試験で同じくらいの期間で同じ分量の教習を受けてきた
他の生徒さんの運転を見ると、それはまるで鏡のように、自分の運転技術を思い出させてくれるものだったのです。
ああ、曲がった後のハンドルの戻し方が私と一緒でちょっと遅いみたいだな、とか。
あるいは、後方確認のタイミングが素早くて見ていて安心できるなあ、とか。
教官に指摘されるのとは違うインプットがたくさんありました。
「仮免はほぼみんなが受かるから、大丈夫だよ」なんて言う人がいます。
でも、それを真に受けて勉強をしないと、足下をすくわれます。
学科の勉強は、実際に運転する時にも必ず役に立ちます。
単なる暗記力の試験じゃないんですよ。だから、試験に受かるかどうかだけじゃなくて、勉強する価値はあるのです。
まあ、高橋さんはナイーブなので(笑)、きちんと勉強をしたようですけど。
なので、受かったから言ってしまいますが、仮免試験は面白いです。
一緒に受けた生徒さんにも妙な仲間意識が芽生えてきて、第二段階も頑張ろう、という気持ちになったのでした。
思わず、一緒に受験した20歳くらい年下の男性に「緊張しちゃったね」と話しかけて、彼がどのくらいのペースで教習所に来ていたかとか、いろいろ話し込んでしまいましたから。
ナンパか!? というツッコミは遠慮しておきます。
正しさは気持ちいいのだ
そんな向上心に燃えた私でしたが、やはり
初めての路上は、案の定緊張しちゃうものでした。
仲良くなった教官と雑談する機会があって聞いたのですが、
路上デビューする生徒さんに多い挙動は、無用な徐行をしちゃうことだそうです
。 これは、教習所内とは全く違う車幅感覚を求められるからだ、と推測します。すれ違うにしても、一般道での周りの車は自信満々に普通にスイスイ行きます。
こちらもそんな運転をしたいのは山々なのですが(学科の授業で「円滑な交通!」って何度も教わりましたしね)、やはり不慣れなのは仕方がないです。自分に自信が無いと、やっぱり遅くなってしまいます。
車道の左側を走る自転車を追い抜けず、無意識に後をついていってしまってしばらく低速運転をしてしまったのは、ここだけの話としておきます。
「追い抜いていいんだよ、広いんだから」と教官に言われて、そのことに気が付かされたのでした。
教習所の学科で教わることは実際の道路事情と違うから意味がないことも多い、
なんて話をたまに聞きます。確かに、一般道路は路上駐車が多いですし、一筋縄ではいきません。
でも、基本的に授業は「正しい運転」を教えてくれます。運転というのは法律と技術とマナーが渾然一体になっているものですから、授業の大切さはこの後どんどん重要になってきます。
特に、第二段階では、運転する時の心理状態などが理論的に解説されていきますし。大事なんですよ、マジで。
むくむくと湧き上がるドライブへの憧憬
地方の方にはちょっと分からないかもしれませんが、東京という街は、かなり細切れに成り立っています。
大きな街ですから、それをひとかたまりで「大東京」なんて呼んだりしますが、実はいろいろなゾーンで細かく区分されているイメージなんです。
私が選んだ教習所は、たまたま生まれ育った東京のど真ん中の教習所でした。
ですから、路上教習も「知っている道」を改めて走る、という感覚だったのです。そう、最初は。
でも、中学高校と通い慣れたバス通りからひとつ折れて、しばらく車を走らせると、今度は仕事の取引先の会社のあるあたり、に至ったりします。
普段は時間に追われて、どうやって最短時間で移動するかということを考えて移動しています。
でも、
自動車を(しかも自分で)運転し、そういう「生活」「仕事」などのゾーンを飛び越えて移動していると、新しいワクワクが見えてきます。「そうか、知ってはいたけど、この道とここは、こんなふうに繋がっていたのか!」と、またもや当たり前のことに気が付かされるんです。
自分が握るハンドルが行き先を決め、踏んだアクセルがエンジンの力をタイヤに伝え、その分だけ車が前に進む。そして、自分の行動範囲が少しずつ広がっていく。
この感覚は、実際に運転してみて初めて体感する感覚です。
タクシーを乗り倒し、都内の駅なら大体すべてのところで乗り降りをしてきた、それくらい東京に慣れ親しんだ私でさえ、
道という線が繋がって面になっていく感覚は、とてもとても新鮮です。
だとしたら!
これが「知らない場所に繋がっている」ということでもあるのです。
今はまだ、知っている道でも時間や道路状況の変化で一喜一憂する私ですが、それでも知らない場所にまで行きたい、行ってみたい、と思うようになります。
そうかあ、これがドライブの魔力か。いや、魔力というよりも、ドライブの持つ根源的な魅力なんですよね、きっと。
単に早くて便利とか、荷物が載せられるから便利とか、そういうことじゃないんです。
運転できる気持ちよさと、遠くのどこかがここと繋がっていることが「本当に実感できる」というある種の知的興奮が、自動車を運転する魅力の中核をなしているんです。
便利さだけが自動車の利点じゃない、というところは高橋さんに大賛成です。
実際、免許を取った後、真っ先にやったことは、ドライブプランを立てることでしたからね。
そういう楽しみを見据えて、免許を取得するのはいいことだと思いますよ。また、必要に駆られて免許が必要な人もいるとは思います。
そういう人も、こういったちょっとの楽しさを忘れないでほしいですね。いやあ、高橋さんもドライバーの仲間入りが近いですね。
いや、もちろんまだまだ運転技術は、向上の余地はありますけども。
マニュアルで免許を取得した先輩(20歳年下)に聞いたところ、自分が自動車をきちんと運転できていると最初に感じたのは、思ったようにギアの操作ができて、加速と減速が自由自在になった時だ、とおっしゃっておりました。
AT車は、そういうダイレクトな「機械を操作している感」にはちょっと薄いところがありますから、私はもっとスムースにとか、周囲のことをより深く理解しつつ運転する、とか、そういうマインドのところでもっと成長していきたいな、と思うのであります。
ということで、
今回は仮免から初めての路上(失敗談は少なめ)、ちょっとずつ分かってきた運転の楽しさと、ドライブへの野望などをお話してみました。
次回はいよいよ最終回。平成に入ってから教習過程に追加された
応急救護の実習や、講習者泣かせであり都心ドライバーの必須スキル、縦列駐車などについても触れます。
お楽しみに!
最後にもう一度!今回の用語解説
いよいよ本格的な運転に取りかかり始めた高橋さんのために、足下をすくわれないように用語をまとめましたよ! ファイト!
・仮免
正式名称は「仮運転免許」。練習のため運転する場合や、運転免許試験などで運転しようとする場合に必要な免許です。ただし仮免所持者は1人で運転することはできず、その自動車(普通免許の他にも大型自動車などがありますので)を運転できる第一種免許(旅客運賃の発生しないもの。発生するものは第二種免許といいます)を通算して3年以上受けている人か、第二種免許を受けている人、または教習指導員資格を持っている人を運転席の横に乗せて指導を受けながら運転しなくてはいけないとされています。ただし現状この仮免は、自動車教習所が一括管理し、所外には持ち出さないのが通例となっているようです。
・第二段階
第一段階の技能と学科を踏まえた応用について学ぶステップです。学科は交通事故防止に必要な知識や特異な条件下での運転知識、運転に関する物理的・科学的知識など。実技は一般の道路で運転する「応用走行」を練習します。高速道路での走行や保守点検、車庫入れなども学びます。
いろいろとあった免許取得のお話も残すはあと1回! はてさて、無事に大団円を迎えられるのでしょうか。