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第1話イライラするのが悪いわけじゃない!
まずはご挨拶とレポートの目的やらなにやら
							みなさん、こんにちは。
							ドライブの楽しさを後方から優しくそっと支援するこのレポートシリーズ。
							今回の『渋滞イライラ克服講座』は、わたくしどもの取り組みの一環として、みんなの大嫌いな渋滞のイライラをなんとかするべく、特別に発足したプロジェクトでございます。
							心理学的な側面からの裏付けも付記しつつ「なるほど!」と腫れない程度に膝を強く打つようなお話を展開していく所存です。
							楽しみながら、読み進めていっていただけたらと思っております。
						
そもそもイライラするとはどういうことなのか?
							いつまでたっても進まない、進んでもノロノロ。そんな渋滞にハマってしまうと、イライラしますよね。
							渋滞が原因でイライラしてしまう原因はなんでしょうか。その答えは5億年前にさかのぼります。
							えー、話を大きくしすぎだというご指摘もありましょうが、本当なのです。
						
							5億年前、生物が海の中で魚かどうか判別が難しいなあくらいの頃、感情といえるようなものが芽生えました。進化心理学的にいうならば、その頃に「感情を獲得した」ということです。
							その獲得したばかりの基本的な感情は3種類。怒りと恐怖、そして悲哀です。
							感情を獲得したその目的は、生き残りです。生き残り戦略のための感情獲得といえます。
							多くの生物は、被捕食者つまり「ぼーっとしていると食べられちゃう」という立場にいて、その環境下でいかに生き延びるかが大きな命題となります。食べられないようなシステムを身につけた個体が生き延び、繁殖する機会を得て、後世にそのDNAを残します。そして有利な個体差がどんどんと先鋭化したり、突然変異などのイレギュラーな出来事も相まって、進化していくのです。
						
							失礼。渋滞からどんどんと離れています。でもちゃんと戻ります。お待ちください。
							えーと、そんな感じで私たちの遠いご先祖さまたちが、生き残りのために3つの感情を獲得しました。この感情を持つことのメリットは、即座に行動するためのきっかけ、トリガーとしてとても有用だということです。
							感情が行動のトリガーとなることで、いちいち「今はこういう状況だから生き延びるためにこうしよう」なんてもってまわった思考回路を経由する必要がなくなるわけです。感情即行動、となって、生き延びる確率(あるいは群全体の利益につながる確率)があがるのです。
							どういうことか。
							まずは「怒り」。これは自分の目的を阻害されたときに感じる感情です。この感情が生まれると、物騒な言い回しですが敵を殲滅しようとするモードに移行します。そして体は戦おうとする準備をする。つまり、困難や外敵に立ち向かうための感情が怒りなのです。この感情がないと、すぐにあきらめてしまい、エサを逃したり、自分が他の動物のエサになってしまったりするわけです。生き延びるため、冷静ではいられなくなっている、それが怒りの感情から引き起こされる心と身体の動きです。
							また、外敵などに襲われた時に感じる「恐怖」は、逃避行動を促します。すぐに逃げないと食べられちゃいますから。「こわっ!」と感じたら、飛びのいて逃げている、という感じです。「悲哀」は恐怖から派生した感情といわれ、行動を止めてじっとしてしまいます。直接的に生き残り戦略とは関係しなさそうですが、他者の感情に寄り添うようにして生まれた感情で、群れを維持するためには必要なものとされています。解説をするとちょっと複雑になってしまうので、ここでは軽く触れるだけとします。
						
							ということで、一番関連性が高いのは、怒りです。
							渋滞でイライラしてしまうのは、なかなか目的地に着かない、予定通りに物事が進まないという「目的を阻害された」ときに私たち生物が当然感じる感情、怒りが原因。「戦うぞ、おう!」という姿勢が、動悸を早め、身体を活発化させ(指先でステアリングをトントンしたり、貧乏ゆすりをしたり)、そういうものが全体で「イライラする」を構成しているのです。
						
								はーい、すみませーん、イライラしちゃうドライバー代表のイラ山です。こんな感じでひょっこり登場して疑問をぶつけてみたいと思っています。よろしくお願いいたします!
								で、ですね、渋滞でイライラするのは、5億年パイセンから続く反応だから当然だししょうがない、ってことでしょうか? でも、イライラするのはしょうがないといわれても、何の解決にもならない気がするんですけど? あ、生意気言ってごめんなさい……。
							
							イラ山さんがそう感じるのは当然です。
							でも、私どもが言いたいのは「パイセンからの伝統だし、しょうがないからあきらめろ」ではありません。そういう心の仕組みがわかれば、できることもいろいろありますよね、ということなんです。
						
気持ちのもちようでイライラしにくい人になれる
							渋滞でのイライラ軽減のためにはどうすればいいのか。
							根本的な解決法は、渋滞をなくすことであることは自明の理です。自明の理。いい感じの言い回しなので使ってみてください。
							渋滞を科学的に分析し、渋滞しにくい交通を実現するためのあれこれについては「渋滞の基礎知識」のほうをご覧いただくとして、こちらでは「渋滞にハマったあと、いかにイライラを克服するか」が主な眼目です。眼目、いい感じの言い回しなので使ってみてください。
						
							長々とイライラしてしまう仕組みを解説してきましたが、イライラ克服のヒントはそこに隠されていました。
							思い出してください。目的を阻害されるから怒りが生まれ、怒りが戦う姿勢を促し、身体が勝手にイライラしてしまう。だとすれば、怒りが生まれてしまう根源をなんとかすれば、結果的にイライラを回避できる、そう思いませんか?
						
								渋滞にハマっても、仏様のような心ですべてを許し、怒るなってことですか?
								私は普段、結構穏やかなほうだと思うんです。でも、どうしても渋滞だけはなんかイライラしちゃうんです。
								誰のせいで車が詰まってるんだろうとか、こんな時間に工事するとかどういう了見なんだ、とか。どうしても、そう思ってイライラしちゃうんです。
							
怒るな、といわれて怒らなくなれる人はいません。怒ってしまうところまでは自然の反応なんですから。でも、イライラを軽減するために私たちができることはあります。しかも、2つあります。2つあるんです。
							
							まず1つめは、ドライブ前にできること。いわば「事前編」です。
							することは簡単。それは、怒りの感情が湧きにくいような、そういう心持ちでドライブに臨むこと。そうすることができれば、結果的にイライラせずに済むのです。
							ご説明しましょう。
							まず考えてほしいのは、ドライブに出かける前に「渋滞があるという前提」でプランを立てたかどうか、です。多分、すいすいと快適に車が流れる、楽しい様子しか想像しなかったのではないでしょうか。あるいは、お昼ぐらいまでにあそこに到着して、美味しいランチを食べようとか、予定がすんなりと進むようなことだけを想像してプランニングをしていたのではないでしょうか。
						
渋滞が「ない」つもりで行動すると、無自覚的に目的意識が強くなってしまいます。その状態で渋滞にハマると、目的を阻害されたと判断することとなってしまいます。そして当然、イライラしてしまうわけです。
もちろん、多くの人がドライブには余裕をもった計画で臨んでいるかとは思いますが、特にイライラしがちな人は「渋滞があったら」ではなく、「渋滞は必ずある」くらいの気持ちの準備をしておくと、目的意識が適度に下がり、イライラはかなり減るのではないでしょうか。
また、渋滞にハマったときのための準備で、音楽を使った有効な手段もあるのですが、そのあたりの詳しいお話は、第2話でご紹介したいと思っています。
なるほどー。イライラしていない人は、そういう計画の立て方が上手な人のイメージ、あります。あ、でもでも、私は単身赴任の夫のところまで子どもと一緒にドライブすることが多いんですけど、やだ既婚者でがっかりしました? ま、それはともかく。待っている人がいるかと思うと、イライラとは違うかもしれませんが「ああ、もう!」って焦ってしまいます。
渋滞にハマったあと、どういう気持ちでいられればイライラしにくい人になれるか。そういうことを、それでは次にお話ししますね。
感情の焦点をずらすため、今の時間を有意義に使う!
							渋滞にハマったとき、それでもあまりイライラしない人はいます。
							そういう人は、多くの場合、感情の焦点を上手に他の部分にずらすことのできる人ではないか、と考えられます。
							湧いてきた怒りの感情に焦点が当たりっぱなしになると、誰が悪いのかと怒りの矛先を探したり、どんな対抗手段があるのかと妙な空想をしたりして、ずーっとイライラした状態に留まり続けます。なので、イライラを軽減するために、そういう感情に囚われ続けないような考え方を知っておきましょう。これが、できることの2つめなのです。
						
							動かない、あるいはノロノロとしか進まない車の中でできることは限られています。
							心の焦点を別のところに向かわせるために、ここでは今の時間を有意義に使って、気持ちを「次のこと」に向かわせましょう。
							イラ山さんのように、待たせるのが申し訳ない、待たせていると考えると気持ちが穏やかになれない、そういう人は多いかと思います。そういう人こそ、「次のこと」に気持ちを向かわせることで、今現在の感情から遠ざかることができます。
						
							具体的には、今後のスケジュールの見直しをする、というのがオススメの方法です。
							渋滞にハマっている今現在の時間を、いかに有効に使うか。次に役立てられるか、という視点で考えてみてください。次のサービスエリアで関係者に連絡を取るようにする(運転中はハンズフリー機器での通話においても、自治体によっては禁止しているところもあるのでご注意を)、予定をずらしたときの効率的なリスケジュールを考える、などなど。
							意外とできることは多いかもしれません。
						
							イライラしにくい人、渋滞でも穏やかな気持ちでいられる人は、気持ちの焦点を上手にずらすことができる人です。渋滞にハマった瞬間、ドライブの目的を「急いで目的地に到着する」ということから、「今の時間を有効に使う/楽しむ」にスライドさせることができる人です。
							これはもう、達観、といってもいいかもしれません。しかし、厳しい修行をしなくても、誰にでもできることなのです。
							ただし。自分で自分の気持ちをコントロールするのはなかなかに難しいことです。
							もし同乗者がいるのなら、その人はナビシートからぜひ気持ちの焦点がズレるような話題を提案してあげてください。「ひとつ手前のインターを降りるといい感じの足湯があるよ」とか、検索やらリスケやらをすすんでやってあげてください。それもまた、ドライブを一緒に楽しむためのスキルかもしれません。
						
渋滞は絶対悪か?
							最後に、ちょっとした会話のタネとして使えそうな話題を。
							渋滞にも、ほんのちょっとだけいい側面がある、というお話です。
						
							渋滞によって気持ちはちょっと磨耗します。すり減っちゃいます。どうしても渋滞は「嫌なこと」です。そして、人はそういう嫌なことから解放されたとき、より幸福感を感じるとされています。
							心理学的にいうと、幸せの閾値が下がる、という状況です。
							渋滞をやり過ごすために立ち寄ったPAで伸びをすると、いつもよりぐぐーっと開放感が得られた、喉を潤したときの水がやけに美味しかった、そんな覚えはありませんか?
							出来事が何もおきない平坦な状況下より、ちょっと嫌なことを体験することで、幸せと感じるボーダーラインが下がり、より幸福感を満喫できる、それが人間なのです。
						
							また、「渋滞でイライラした」ということは、生物として当たり前の反応が起きていることが確認できたともいえます。これはつまり、うつ病を発症していない、という証拠でもあります。うつ病は、怒りなどの強い感情が起きること自体が心に負担となってしまうほど、弱っている状態です。なので、心を守るために怒りを感じないようになる、それがうつ病のいち側面なのです。やる気が起きない、だるいというような感覚は、心を守っているから感じるのですね。
							なので。渋滞でイライラしたら、「あ、私の心は正常に機能しているな」と、自分をちょっと客観的に見てみましょう。そうすれば、さらなるイライラにとらわれないで済むかもしれません。
						
							明日から渋滞にハマってもイライラしなくて済む……というわけにはいかないでしょうが、仕組みを知って、なんだか心が軽くなりました。なった気がします。だったらいいなと思います。
							あ、でも、まだ聞きたいことはあるんです!
						
						ということで、第2話ではさらなる心の対処法をご紹介します。
						イラ山さんともども、お待ちいただければ幸いです!
					
						テキスト/ドライブトーク研究室(クラッチ渡辺研究員)
						監修/神奈川大学教授・臨床心理士 杉山 崇
					
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