今現在、ドライブデートはすでに始まっている！

ドライブデートって楽しいですよね。
車中という密室での親しげなやり取り、同じ目的をもって出かけるという一体感、楽しい思い出の共有……。いいところを挙げればキリがないほどに、ドライブデートにはカップルにとって素晴らしい効能がてんこ盛り。「今の奥さんとのドライブデートって、どうでした？」なんて聞けば、きっとコワモテの先輩も遠い目をしながら頬を緩ませるはずです。多分。

さあ、最初の一歩です。まずはこういうことを考えてみましょう。
あなたの意中の女性は、ドライブデートに誘われることをどう感じるのか？

女性は、男を見定めるイキモノです。それは身を守るためでもあり、よりよい伴侶を選ぶために獲得してきた特質なのです。そのような特質を得て進化してきた、そう進化心理学では考えられています。バイト仲間のあの子だって、女性ですからそういう特質は持ち合わせいます。
つまりドライブデートとは、その誘い方も含めて、女性が男性であるあなたを見定める絶好の情報源だといえます。もっといってしまえば、女性にとってデートを楽しむことは2番目、まずはあなたという男性を見定めるためにドライブデートは存在するのです。

しかし恐れる必要はありません。逆にいえば、ドライブデートはあなたの内面の美しさ（あるはずです、あると信じてください）をアピールするチャンスでもあるんです。
ということで、そんな女性の心理を把握しつつ、まずは効果的な誘い方から話を始めましょう。本格的なドライブデートが始まる前に、2人の関係はもう走り出しているのです。クルマだけに！

心が固まるまで、誘われたくないの！

ドライブでは、同じ空間と同じ目的をもって長時間を過ごすことになります。だから、多くの女性は、ドライブデートを「相性の確認」の場として認識しているようです。相性の確認とは、この男性（なんとなく好意は感じているけど、付き合うにはどうなの？）が自分にとって、どういう関係の人物となり得るのか。小さなしぐさや選ぶ言葉の端々などから、未来形であなたという人物を見定めようとしているのです。友人か、恋人か、はたまたどっちつかずでイライラしちゃう憎いあんちくしょうなのか。それを見極めるためのイベントが、ドライブデートなのです。

さらにいえば、女性にとってまだ評価が確定していない男性とクルマという密室で2人きりになるということは、心理的なハードルが高いものです。ですから、いとも簡単にドライブデートに誘おうとするならば、それだけで「オンナゴコロが分からないのね」となり、好感度ダウンにも繋がりかねません。……ですよね、女性の皆さん？

ということで、まずは女性の心をやーらかくしていくところから始めましょう。 今現在、意中の女性は、あなたに対して「ちょっとの好意」と「どんなもんかしら？」という判断保留部分、そして「まだ、狙われたくないの！」という気持ちで構成されています。あ、脳内変換は、少しハスキーでセクシーな声でお願いします。

大事なのは、この「狙われたくない」という部分です。心理学的にいえば、自己標的感を感じたくない、です。あなたがどんな人であっても、女性は自分の恋心が固まる前に、あからさまに狙われたくはないんです、断じて。そのくせ、ちょっとでも恋心が発動すると、少し戸惑っただけで「んもう、意気地なし！」とか言い出すから大変なのですが。

まあ、「この意気地なし！」となじられた高校2年生のあの日の苦い思い出のことはさておき、耳にこびりつく蝉の鳴き声とともに一旦忘れ、ここでは女性の心理ハードルを下げることに精を出しましょう。
多分、これまで仕事帰りにビールを飲んでみたり、ちょっと映画に一緒に行ったり、さらに若い世代のみなさんなら学園祭の打ち上げの流れで２人きり、というような軽いデートめいたものは済ませているのでしょう。だからドライブデートに誘いたいんですよね。

しかし、それだけではまだあなたは「悪い人じゃなさそうゾーン」の人です。
先の例は、いずれもタイミングが合ったからこその勢いで成立したもの。明言しないまでも「タイムリミットが確約」されていたものでした。仕事帰りデートには電車の時間が、映画デートには終了時間が、あらかじめ見えていました。そう、終わりが見えれば、女性は一緒にいる男性に対する恐怖感が下がるのです。
これは、長時間を過ごした挙げ句に「やっぱり悪い男だったわ……」となることを無意識のうちに回避する、時間的投資を最小限にしようとする心理的なバイアスだといえます。
だから、あなたが重ねてきた軽デートでは、まだもう少しだけ、ドライブデートに踏み切るにはなにかが足りない可能性があるのです。

画期的イベント「15分送迎」

そこで！　今いる「悪い人じゃなさそうゾーン」からステップアップするためにお勧めしたいのが、「15分送迎」です。
電車なら乗り継ぎなどがあって小1時間かかるようなちょっとした場所まで、さくっとクルマを出す。あるいは、少しかさばる荷物のある時に駅まで迎えに行ってあげる。そんな15分くらいの送迎イベントを実施するのです。自分自身が「車があって、便利だなあ」と思った、あの快適さを無償で提供するのです。

この「15分送迎」のポイントは、あくまでも「ついでにクルマを出してくれた」感です。「その日、近くに用事があるからクルマ出そうか？」くらいのノリです。
なにせ、女性側には送ってもらった後に別のイベント（友達の結婚式の2次会、式場から離れているし引き出物も重いのよねえ）があるので、さっぱりと切り上げられます。ちょっと億劫な距離（荷物のある帰り道は、せめて最寄り駅までをクルマで移動できたらいいのに）なら、そこをスキップできるお得感も高いですし。

こういう無償の申し出は、女性に「この人は私をお姫様のように扱ってくれる」という印象を植え付けられます。往々にして、男性は付き合いの浅い段階から「本当のオレを見てくれ！」と主張しがちです。「自立している、大人の女が好きなんだ！」という理想を押しつけてしまうかもしれません。しかし、そういうのは後回しにしておきましょう。今は、何度も顔を会わせて親しくなっていくほうが重要です。心理学的に言えば「単純接触の機会が増えることで、親近効果が増した」状態にもっていくのです。
なんなら立ち去る時には風のように爽やかに「じゃあ、今度楽しかった話、ゆっくり聞かせてね」なんていえれば、完璧です。

この「15分送迎」で、安心感と信頼感を勝ち得れば、ドライブデートにもきっと応じてくれるはずです。

決定版！ デートに誘う時の必勝メール

「15分送迎」も効果的ですが、さりげないメールやSNSでのお誘いテクニックも身につけておいて損はありません。
関係が固まるまでのメールコミュニケーションの基本は、メールなら「1メールに1つの話題」。やり取りの詳細が残るようなSNSなら「きちんと連続性のある話題」が大事です。それほど深い仲ではない男性からのメールを、一言一句丁寧に精査してくれる女性はいません。だから、無難な話題をいくつも振るよりも、ひとつの話題に沿って会話をするのが無難です。

では、どんなさりげなさが効果的なのか。
ここまでのデートで、いろいろと自分の話をしてきたかと思います。その中で、「この季節、●●海岸って気持ちいいんだよね」とか「あのあたりは△△が美味しいんだよね」というような話題を振っているはずです。メールやSNSでは、その前振りを開花させていきます。

そして、肝心のお誘い文句は、これです。
「ところでさあ、前に話しをした●●海岸に今度行こうと思うんだけど、興味ある？」

ここまでの、努力を微塵も感じさせない、ギンギラギンではないさりげなさが光る文面です。ぐいぐいと話を前進させたくなる、まどろっこしい会議にイライラするのが男性特有の心理ですが、今回は効率よりもさりげなさ重視です。
「一緒にどうかな」とかも、この際バッサリと切ります。自分がその場所に行くことは決定事項。もしも万が一そこに付き合ってくれるなら……というような、ふわっふわの感じでメールをします。
狙われているかも、という自己標的感を抱かせない、それがキモなのです。

ちなみに。 「楽しそう！ みんなで行けるといいね！」や「機会があったら是非！」というような見事に当たり障りの無い切り返しが来た場合、もちろんお誘いは失敗です。やり取りをさっさと切り上げて、スマホは充電器に任せて、風呂に入って頭皮ケアでもしてください。いいんです、逃避です。

いかがでしょう？ 今回は、いかにドライブデートに誘うか、そのためにオンナゴコロを紐解いてみました。最後にもう一度、繰り返しておきます。ここまで準備をするのは、ドライブデート成功の暁には、2人の距離がぐぐぐっと近づくからです。そして何より、ドライブデートは楽しいからです！ レポート2では、ドライブデートを実践するうえでのコツなどをお伝えしていきます。次回も目からウロコを落としまくらせる所存です。

テキスト／ドライブトーク研究室（クラッチ渡辺研究員）
監修／神奈川大学教授・臨床心理士　杉山 崇