ドライブの成功で好印象を刻み付ける！

今回は、女性目線でのお話をさせていただきます。
ここまでレポートの1と2で、さんざん男性を脅かして参りました。ドライブデートに応じてくれても、お目当ての彼女はまだまだキミを見定めている最中だよ、と。確かにまったくその通りなのですが、ドライブデート中も男を見定める方法ばかりを語ってしまっては、楽しいドライブデートという本論から離れてしまいます。

ということであなたは、何度かちょっとしたデートを重ね、かなりいいなあ、と思っている男性から誘われた女性です。今日の「待ちに待ったドライブデート」を未来の記念日にするためにどうしたらいいのか。素敵なドライブデートを成功させて、かつイイオンナとしての印象を与えるためにはどうしたらいいのか。それらを目標に、女性のデキる演出などについてお話して参ります。別名、ナビシートで輝くイイオンナの振る舞い指南、です。
あ、男性諸氏にとっても、もちろん勉強になるので、コソ練のつもりできちんと読んでみてくださいね。

まずはドライブ中の会話について。
話題の選定は、まあ彼に任せてしまいましょう。
安全運転のためにも、質問責めになっちゃうような、過去をほじくる高性能スプーンにはならないように。うっかり高校3年生のあの秋の日の寂しい思い出とかを思い出させてしまっては元も子もありません。だから、あくまでも運転中の会話の主導権はドライバーに譲ってあげましょう。
無難なところは、往路なら「行き先楽しみだね系」の話題でしょうか。これは、その行き先を選定した男性を肯定し、間接的に「あなたに興味があるわ」という意思表示にもなります。

また、男性の自己肯定感は過去とも密接に繋がっています。これは心理学的にいうところの「自伝的記憶の自己機能」です。過去の栄光が、次の栄光を推測するための物差しとして機能します。次の栄光とはすなわちデートの成功です。ですから、男性をその気にさせるには、鼻につかない程度の自慢話をさせて調子に乗らせるくらいでよいのです。
運動が苦手に見えるようなタイプでも、実は持久走にだけは向いていて、高校生の頃にはマラソン大会で学年一番だったとか。そんな、聞かれなければ話さないような、真顔で言われたらちょっとだけ面倒な、そんな青春のプライズ・エピソードに上手く誘導してあげると、会話は弾むでしょう。ドライブ中だけではなく、休憩中のちょっとした会話のときにでも「高校生時代はどんな子だったの？」なんて、軽いフリで会話を盛り上げてあげましょう。

会話の鍵は沈黙後の10秒にあり

会話の主導権は渡したように見せつつも、ドライブ中の会話のテンポは女性であるあなたがコントロールしてあげてください。特に、何気ない会話が下手だと自覚しているような男性を相手にする時。そういう時こそ、ナビシートの名指揮者となるチャンスです。
たとえば、景色のあまり変わらない高速道路上なんかで、20秒無言になったとしたら。たったそれだけの時間なのに、「ん？ なに考えてるのかな？」とちょっとだけ不安な気持ちになりますよね。それは彼も同じこと。もしかしたら、さっきまずいこと言ったかな、なんてここでもまた過去に捕われてしまいます。
そういう時は、いっそのことさらに10秒ほど沈黙を重ねてみましょう。合計30秒。ここまでくると、本格的にお互い「なにか話さなければ」と、視線が少し未来を向きます。そんな時に、すかさずあなたが口を開きます。
ポイントは、この30秒間の沈黙など「なかったこと」にするさりげないしゃべりっぷり、です。

このアイス・ブレイキングが、男性に与える影響は計り知れません。
男性にとって「自分も気まずいと思った」沈黙を、あなたがなんとかしてくれたわけです。これはとてもありがたい。しかも、なにもなかったかのように話しかけてくれた。つまりさっきの沈黙は気まずくなかった、という証明もしてくれたわけです。
多少沈黙の時間が流れても大丈夫なんだ、そういう保険は男性にはとてもとてもありがたいものです。その保険を提供してくれたあなたは、もちろん株が上がっている、という仕組みです。経済学の話ではなく、です。

ちなみに、沈黙後の話題はなにか2人の共通の知人ネタがいいですね。学校の同級生やバイト仲間、職場関係の共通の知り合いなどの近況とかです。可能なら、彼も知っている共通の女友達の話題とかをオススメします。女性が漏らす、ちょっとした知り合いの秘密。こういう話題は、男性からすれば「へえ、そうなんだ、知らなかった！」と素直に話に乗れるからです。

評価ではなく好意をさりげなく示そう

こっちとしては「やっとドライブデートに誘われた！」くらいの前傾姿勢なのに、緊張しているのか奥手なのか、イマイチ彼の押しが弱い気がする……。そういうこともあるでしょう。
そんな時こそ、心の肉食獣は大人しくさせておいて、慌てないで攻めていくことをオススメします。
2人きりの車内、これはかなりプライベートな空間です。これまでに15分送迎とかをしてもらっていたとしても、練習と本番には大きな違いがありますから、やはり緊張としては別もの。おおらかな気持ちで、温かい視線で、ちゃんと楽しんでいるわよをきちんとアピールしてあげるのです。

ということで、女性が前面に押し出すべきアピールポイントは「ときめき」です。ワクワク感、新しい刺激を受けている、そういう今の自分を言葉にして伝えてあげるのが、グッドな選択です。
立ち寄った絶景ポイントでは「いい景色ね」で終わりにするのではなく、「こんな景色、滅多に見られないね！」ですし、食事時に焼き上がる料理を待っている時には「焼けるの待つのって、ドキドキするね」です。
こういう「新しい体験をしている」ということが伝えられれば、彼は誘った甲斐があると感じますし、また誘いたいなと思ってくれるのです。

協力者としての実力を発揮する

彼が練りに練ってきたデートプラン。事前にどれだけ準備をしても、なにかしらのアクシデントでスムースに進まない、なんてことはよくあることです。でも、アクシデントは彼のせいじゃないです。そんなことは男性にもわかっています。でもでも、でもね、男性はそういうことも含めて、責任を感じてしまうものなのです。
そこで、ここはひとつ、素敵な女性（しつこいようですが、あなたのことです）から、レスキューの手を差し伸べてあげましょう。
予定していたルートが工事中だった、立ち寄ろうとしていた絶景ポイントが恐ろしいほどの混みようだった、そんな彼が駐車場で一瞬「どうするかな」と迷っていたり、一生懸命にカーナビをいじっている時などに使える手があります。
名付けて「先生、提案です」作戦。
軽く手を挙げて「先生、提案があります。多少遠回りでもちょっと戻ってみてはいかがでしょうか！」と言ってあげるのです。
え？ ちょっとバカバカしいですか？ いえいえ、男性側の「楽しませなくちゃ」に協力をしてあげるには、この程度のおどけっぷりがないと、なかなか厳しいのです。
これは心理学では「親しい関係の選択的注意」を使った戦略、といえます。

「この店に入ってみない？」「ここはスルーして、次のところでご飯食べることにしようよ」の前には挙手、そして先生とか先輩とか、お好きな役割を振ってあげましょう。
賢い男性なら「ああ、救われた！」とも感じてくれるはずです。

去り際の美しさで勝負！

ドライブの際、帰路が、そして去り際が大事だということは何度もお話してきました。ある程度打ち解けた仲になれば、その印象は常に更新、上書きされます。最新の記憶、つまり別れ際の振る舞いやひと言が、一番心に残るのです。これを心理学的に「印象形成の親近効果」といいます。

なので、ここで持ち上がってくるのが、好印象を残すためにはどちらがいいのか、「楽しかったVSまた誘ってください」問題です。
別れ際のセリフは、「楽しかったです」がいいのか、「また誘ってください」がいいのか。単純に考えると、「また誘ってください」はこちらから水を向けることだし、ちょっと早いかなというイメージがあるかもしれません。
しかし。どちらのセリフが相応しいかといえば、「また誘ってください」の勝ちなのです。

「楽しかったVSまた誘ってください」は、「過去VS未来」に読み替えることができます。「楽しかった」＝完結したできごと＝過去のこと、「また誘ってください」＝これから先の約束＝未来のこと。
未来のことを持ち出すということは、関係の継続を望んでいるというアピールにほかなりません。これは、関係性において最強だといえます。
なので、別れ際は、「また誘ってくださいね」と言って車を降りる、なんていうのがベストだと考えます。

ついでにいえば、初回のドライブデートでは、家（もしくは最寄りの駅）に着く時間、つまりデートのタイムリミットを女性であるあなたのほうから指定しておくと、さらに去り際の美しさが倍増します。
カップル成立が一番多い時間帯は、夕方の6時頃だとされています。そーいうのをリサーチした研究者がいるそうです。ローマンティックですね。日が陰り、目に見える形で今日という日が終わりに向かっていく、そんな時間帯は誰しも人恋しくなるものですから。なんとなく納得できますよね。
そういう演出も鑑みつつ、具体的なタイムリミットの設定は、各自で思案してください。季節による日の長さは自分で調整してくださいますよう。

働くのは肘から先だけで十分！

「じゃあね、また」
「うん、連絡するね」
なーんていい感じのやり取りをして車を降りたあなた。
ここから最後の仕上げと参りましょう。

まずは、お見送りです。
車がスタートして、しばらくはその場に立ってお見送りをします。で、その際、軽く手を振ってあげてください。

恥ずかしいですか？ そうかもしれません。でも、ドライバーからすると、車を出した直後なんていうのは、安全に気を遣わなければいけない瞬間です。彼女がただ立っているのか（いきなりスマホを取り出してSNSをチェックしているのか）、それとも自分を見送ってくれているのか、小さなバックミラーだけでは確認しきれないんです。ですから、ほんの少しだけ非ローマンティックな自分に鞭打って、軽く手を振ってみてください。
手を振るというのは、あなたが送る「好意の信号」です。これだけで、印象はぐっとよくなります。

そして、楽しかったドライブデートのお礼は、メールやSNSなどで「翌日」に送信します。えー、その日のうちに連絡したほうが感じよくない？ と思うかもしれません。確かに、速攻でお礼メールをするのも手ではありますが、翌日に持ち越すには理由があります。
それは、「１日経っても余韻が残っている」アピールになる、ということです。
ですから、もし当日の彼から「ちゃんと家まで帰れた？」なんて連絡が来たら、それはそれで軽く返しておきます。そのうえで、翌日に、丁寧に、さらにさらに「また、絶対誘ってね」的なワードをまぶしてメールなどをしておきましょう。
ほら、耳を澄ましてください。聞こえてくるはずです。彼の胸がキュンキュン鳴っている音が。

手を振るにしても、メールなどを打つにしても、働くのは肘から先だけ。
これって、とても効率的な「手」ですよね。

いかがでしたか？ これらのことが実践できた時、あなたは間違いなくイイオンナとして輝いていることでしょう。これから始まるドライブデートに向けて、ちょっとした自信もついたのではないかな、と思っております。
次回は女性ドライバーの立場から、ドライブデートを掘り下げます。ドライブデートは男だけの晴れ舞台ではない、ということについてお話しして参りましょう。

テキスト／ドライブトーク研究室（クラッチ渡辺研究員）
監修／神奈川大学教授・臨床心理士　杉山 崇