○○したい別レポート ~目的別に会話の進め方を考えましょう~
REPORT 2
親しくなりたい!
ドライブは、これまで以上に2人の関係を近づけてくれる、魔法のイベントかもしれません。 さらに、より親しくなるための会話の流れを身につけていれば、もう怖いものなしです。出会ったばかりの恋人候補未満の男女、同じプロジェクトを進めていくことになった同僚、ひさしぶりに再会した級友など。どんな相手でも、一気に親しくなってしまいましょう!
研究報告
ドライブトーク研究室ニッサン分室
会話の流れはこんな感じに!
「親しくなる」には大きな枠からどんどん小さく
ドライブとは不思議なものです。クルマの中という閉ざされた空間の中、同じ目的地を目指し、同じ時間を共有するという特別な体験は、そこにいる人たちを親密な間柄にしてくれます。なにかいいことが待っているような気がしますよね。ラララ、ドライブ。素敵なドライブ。ごめんなさい、いつも冒頭は調子がつかめなくて、手探りなんです。お付き合いください。
さて、前回のCASE1「無難に切り抜けたい!」では、無難に過ごすためには「自分が外集団(敵/味方ではない)だと評価されないようにすること」だとお話しました。今回はもう一歩踏み込んで、自分が「内集団(味方/自分の仲間)」であることを印象づけて、親しくなってしまいましょう。
さて、とても親しい間柄の友人や恋人を思い出してみてください。あなたとその人の間には、きっと「2人だけの秘密」があるはずです。そう、親しさの究極はこの「2人だけの秘密」にあるのです。秘密とは、超個人的であり、超ローカルな共通項のことです。ほかの人は誰も知らない、2人だけの共通項をもてるかどうか、それがすなわち親しさの証なんですね。
内集団になっていくには段階があります。一足飛びにがっちりとスクラムを組むことはできません。親しくなっていくための会話も、共通項を大きな枠からどんどんと小さな枠へと段階的に進めていくことで成立します。
「僕たち、同じ宇宙船地球号の乗組員じゃないか!」と言われてもピンときませんが、「え、五香六実なの? オレ、北初富だよ!」と言われると共通項が近しく、親しみがわくというものです。あ、千葉の地名です。ピンとこなくて断然大正解。これが「内輪の親密感」なんですから。
会話の流れは、このように大きな枠から小さな枠へと移行するように進めるといいでしょう。出身地の次は共通の趣味だったり、バイト体験だったり。段階的に小さな枠の共通項が見つかれば、次第に親しくなっていきます。
「2人だけの秘密」が簡単につくれるわけではありませんが、そういう方向に親しさのタネがある、と覚えておいてください。 大から小、の方向性です。
途切れない会話は「自己開示」から
会話が途切れずに続き、時間を忘れて話し込んでしまった。その後親しく付き合うこととなる相手とは、そんな経験があるのではないでしょうか。
この「途切れない会話」が親しくなるための必要なステップならば、そんな会話ができるように演出してみましょう。
会話が続くということは、完結した話題が複数個連続するのではありません。ひとつの物語が、さまざまなエピソードを交えながらずーっと続いていく、そんな感じです。時間軸は行ったり来たりしてもいいでしょう。連続ドラマや長い連載のコミックなど、脇役の過去エピソードが適度なところで挿入されたりして、決して一本調子じゃないですよね。あの感じです。
会話が続くためには、相手のリアクションを計算に入れなくてはいけません。ここで応用したいのが、心理学でいうところの「自己開示の返報性」です。
「自己開示」とは、「自分はこうだよ」と情報を開示することです。情報を開示されたことで、相手はお返しをしなくてはいけない、という気になります。これが返報性です。つまり、会話を続けるために、呼び水になるような「自分からの語りかけ」が大事だ、ということなのです。
たとえば「僕はこういうガッチリした体つきだから、大食漢にみられるんですけど、実は小食なんです。○○さんにも、そういったことありませんか?」とか。
これはつまり、「見た目と違うギャップのエピソードを語ってくれ」と言っているわけですが、それを直接的にぶつけるのではなく、まずは「自分は意外に小食」という「自己開示」から入っているのですね。そして、質問の形で相手のターンだということを明示する。ちらりと自分の片鱗を見せ、でもゲタは相手にあずける。そんな姿勢です。
話題は、ヒゲモジャだけど甘いものが好き、細身だけど暑がりなど、軽い「好き嫌いの話」から入ってみるといいかもしれません。
意外なことに、半返しだ!
普通、こういう文章では触れないのですが、ごめんなさいこの小見出し、絶妙に古い感じですね。なにが言いたいかというと、先の「自己開示」の件です。
会話を連続させるためには、こちらが情報を「開示する」→相手に情報を「開示させる」→こちらが情報を「開示する」→相手に情報を「開示させる」……というような連続が望ましいのですが、そうは問屋がおろしてくださいません。意外な共通項が見つかったりして、一瞬熱量が上がった会話になっても、急に空気がしゅんとして静かになってしまうこと、ありますよね? 気がつくと、会話がブツ切れになってしまっている。
多分その原因は、質問を矢継ぎ早にし過ぎたり、こちらからの開示が多過ぎたりしたことにあるのでしょう。
相手からもらった情報と同じくらいの情報量を開示してしまうと、そこで満足して会話が終わってしまいます。もっと会話をしたかったな、と思わせるような、ちょっと物足りないなと思わせるくらいの情報量でいいのです。
心理学的にこれを「中断効果」といいます。これは、その関係性を継続したいと思う効果のことです。
ですから、こちらから開示する情報は、呼び水程度でいいのです。いっそ、相手の半分でいいくらいです。相手が語ってくれたら、それに応じて半分の量を返せばいいのです。ましてや倍返しをしてしまうと、しゃべり過ぎの悪印象しか残しません。そのあたりは某銀行員に任せて……いや、言いますまい。
「自己開示」は、半返し。そう覚えておいてください。
お気に入りランキング解析
ここで、アプリ『ドライブトーク』で、みんなが「親しくなりたい」時に選んだ人気の話題を見てみましょう。
順位 | 話題お気に入りランキング(親しくなりたい) |
---|---|
1位 | いままでに家出をしたことありますか? |
2位 | はじめて買ったCDについて語ろう |
3位 | 小学校のころに憧れていた職業って何ですか? |
4位 | どうしても食べられない、苦手な食べ物について語り合おう |
5位 | 学生時代に遭遇した凄い先生について語り合おう |
どれも話題の投げかけ1球目には、なかなかいい話題です。第1位の「家出をしたことは」とか、第2位の「はじめて買ったCD」なんて、ナイスなエピソードの匂いがぷんぷんします。ただ、こういう話題はあまり語りすぎないようにするのが肝心です。特に家出のエピソードなどは、「中学生のころ、公園のすべり台でしばらく暮らした」とか、本にしたら200万部くらい売れてしまう鉄板の面白エピソードだったとしても、語りすぎないように。あ、あれは家出じゃなくて解散でしたか……。
第4位の「苦手な食べ物」は、会話が盛り上がるであろうジャンルですが、ツッコミは軽度にしておくことを心得ておいてください。インド人なのにカレーが苦手、的な意外な好き嫌いがあったとしても、あまり大げさにツッコまずに、会話を続けることを念頭に置いておきましょう。
相手の開示性が高くなることが期待できる話題としては、「そもそも、好き嫌いが分かりやすいモノ」をネタにするといいでしょう。女性を相手にするのなら、今現在身につけているものは、明確に「その女性が好きで身に着けているモノ」です。
それが時計なら「僕は子どものころに映画で、観たこの時計に憧れ続けていて、大人になってやっと買ったんです。あなたのつけている時計には、なにか思い出とか意味があるのですか?」とか。こう自分から開示しつつ聞けば、時計に対してのいい思い出やポジティブな感想を引き出せます。
ほかにも、カバンやバッグ(男にはそんなに語るべきものはないが、女性にはある)、ネイル(深掘りしないでも褒めつつ語れる)など、いい話題でしょうね。
どっちに転んでも同調できるような二択、というのもなかなか使い勝手のいい話題です。犬派か猫派か、という話題でも「僕は犬派なんだけど、猫もやっぱり可愛いと思うんだよね」というような「自己開示」を呼び水にしましょう。
たとえば相手が猫派だったとしても、なぜ猫がいいのか、どうして犬はダメなのか、というように深いところまで掘り下げないように。そういうのは、もっと親しくなってからのお楽しみにとっておきましょう。親しくなるまでは、意見が対立しそうな話題は控えておくのです。お控えなすって。
親しくなりたいあなたは活用すべし!
ほかに、親しくなるための秘密の技として「親近効果」というものがあります。親しくなっていく過程では、相手に対する印象が上書きされていきます。つまり、ドライブの後半、別れ際が大事なのです。美味しいところ、期待をもたせることが最後にくるようにするのです。
ドライブの後半にもってくるといい話題としては、プラセボ(期待)効果のある話題、約束や予定にまつわるものがいいでしょう。それは海外の景勝地など、本当に行けるかどうかわからないような場所の話題でもいいのです。
「いつかは行ってみたいところ」や「もう一度行きたい、素晴らしかった景色」とか。
素敵な場所に対するドキドキ感が、自分に対するドキドキに「印象としてすり替わる」ことが期待できるからです。そう、ご存知の「吊り橋効果」です。もうちょっと専門的な言い方だと「錯誤帰属」といいます。
いかがでしたか? 親しくなるための、会話による演出。そう、これは演出なのです。こんな演出プランを十全に実践できる話題を是非、ご活用ください。
テキスト/ドライブトーク研究室(クラッチ渡辺研究員)
監修/神奈川大学教授・臨床心理士 杉山 崇
楽しいドライブに必携のアプリ!
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