埼玉から長野に抜ける峠は荒涼とした長い道が続き、やがて峠の頂上に差し掛かって私は驚きを覚えました。
今までの荒涼とした山路とは打って変わって、長野側の美しさには目を奪われてしまいました。
そこはまるで北欧の山並を抱負とさせる景色が広がっているでは有りませんか、針葉樹林は良く清美され美しいフォルムを見せてくれて居ます、この絶妙なコントラストに絶句しました。

三国峠と言う名前は全国にありますが、今回出かけたのは埼玉県・長野県・群馬県の県境を成す三国山の１㎞ほど南にある三国峠です。埼玉と長野は十文字峠と三国峠でのみ結ばれていて、車で行けるのは三国峠です。つまり三国峠は埼玉と長野を直接結ぶ唯一の車道と言うことになります。
行程は、秩父市内－中津峡－彩の国ふれあいの森－中津川林道(ダートコース)－三国峠です。
まず秩父市内から140号線を三峰神社方面へ向かいます。１本道で迷うことはありません。しばらく進むと左側に大滝温泉が現れます。そこから800ｍほどで、左に三峰神社へ向かう秩父往還、右に中津峡へ向かう大滝道路に分かれるＴ字路になりますから右折します。
右折して３㎞ほどで大滝大橋という名のループ橋になります。深い谷と高い山並みを従えた光景は素晴らしいのですが、私を含め高所恐怖症の人にはちょっと辛いかもしれません。
ループ橋を渡り、３つ目のトンネルを出た直後に中津峡へのＴ字路がありますから右折します。道標があるので迷うことはないでしょう。中津川沿いを走るこの道は、秋の紅葉の素晴らしさが容易に想像できます。
「彩の国ふれあいの森｣は､宿泊施設も整っているうえ､料金も安いので家族連れや仲間同士には良いかもしれません。ここから先は､店も無さそうなので､真夏とは思えない爽やかな風に吹かれながら、早めの昼食で美味しい蕎麦をいただきました。
ふれあいの森から300メートルほど進むと志賀坂峠への分岐の道標があり､三国峠へは直進です。いよいよダートコースの始まりです。
ダートコースに入ってすぐの短いトンネルと、それに続くいくつかのトンネルは、掘りっ放しのようで内壁はゴツゴツとした岩が剥き出しです。
事前の検索では、普通乗用車での峠越えは無理だと書いてありましたので､行けるところまでと覚悟を決め登り始めたのですが、幸いにも妻の普通車で大丈夫でした。ただし道は相当に荒れていて､時速１０㎞～２０㎞で進まなければなりません。右に左に､上に下に､大きく車体が揺れ､久々の妻の悲鳴を聞きながら､たまにはこんな道もいいなと思いつつ、安全運転に細心の注意を払いました。
18㎞ほどのダートコースは途中視界が開けるところはほとんどありません。悪路の山深い峠道を１時間余りかけてじわじわ上り詰めると、いよいよ三国峠です。峠には、ぽつんと１つトイレがありますが、他に茶屋も何もありません。景色と澄んだ空気だけです。物音一つ聞こえません。誰もいません。妻と私の話し声だけが空に吸い込まれて行きます。
埼玉側は針葉樹がうっそうと茂り、長野側は山並みを越えて視界が開けています。また長野側はすぐに舗装道路が始まっています。
私は、ある種の緊張感が楽しめ、往時の生活を偲べる峠越えが好きなのですが、今回の三国峠越えは少々ハードで､めったに味わうことのできない楽しいものでした。
ちなみに､埼玉側は17時から８時までは夜間通行止めで、且つ12月１日から４月30日までは終日通行止めです。つまりその間、埼玉と長野を直接結ぶ車道は無いということになります。また私見ですが雨の日は避けたほうが良いでしょう。ダートコースならではのスリップと落石の危険性が増します。現に道端には落石と思われる大きな石や岩がゴロゴロしていました。現在では珍しいダートコースのうえ、２つの県を直接結ぶ唯一の車道ということで興味をそそられますが、細心の注意力と安全運転が絶対条件です。パンク修理１つにしても坂道ですから力量が必要です。交通量は無いに等しく携帯も圏外ですから、何かあってもすぐに救いを求める事はできません。

埼玉県側からの道中は一般的な乗用車では途中までしか行けません！
長野県側からであれば、完全舗装された道があり山頂で、見事に埼玉県側は未舗装ろになります
行政の区分がはっきりしていてある意味面白いです
紅葉シーズンであれば、非常にきれいで且つ、道が悪いせいか人もほとんど来ないので
大自然を感じられますよ！