私は子どもの頃から父とよくドライブに行っていた。行き先はいつも無名の建物や海岸、橋などであった。友達の家庭ではドライブと言えば有名な観光名所ばかりらしく、その話を聞いた私はいつも友達のことが羨ましかった。建設会社に勤めていた父は、休みが少なく、たまの休みに例のドライブをしていた。私たちのドライブというのは、父がこれまでに仕事で関わった場所を巡るものであった。子どもの頃は退屈で友達が羨ましく思うようなドライブも、自身が父になった今では誇りを持って仕事をしてきた父の頑張ってきた証なのだと思う。自分は形のあるものを残せる仕事ではないけれども、子どもに誇れる仕事をしていきたいと思える思い出です。