家業柄普段は休日でも中々外に出られない父も、家族の誕生日には仕事を早く切り上げて、少し離れた山に車で連れて行ってくれてました。
その山は少し鬱蒼とした山でしたが、頂上だけはなぜか少し開けていて、周りの景色がよく見えるちょっとした原っぱの様な所でした。
そこで毎年、次の誕生日までの目標を決め、気に入った花を1つ摘んで押し花にし、父の車に大事にしまって来年の誕生日まで一緒に過ごします。そして、次の年に前年摘んだ花を見ながら1年を振り返り、家族で「ありがとう」と言い合います。
今では父は認知症で施設に入ってますが、最後に摘んだ花を見せると、笑顔で「ありがとう」と言ってくれます。