うちの父は、製造業をしている。24時間、機械が動いているらしく、機械が停止すると、父のスマホに異常のメールが届く。
家に帰っても父はスマホを傍らに置き、気が休まらない日々を送っている。今日も日曜日にも関わらず、仕事に出かけた。
そんな父に気分転換をしてもらおうと思い、外出しようと持ちかけた。行き先は適当にはぐらかし、自分が道案内した。
着いた先は夜桜がきれいなお寺俺は父に「たまには、仕事を忘れてこういうのを見るのも良いでしょ。」と言った。父はありがとうと一言いって夜桜を見上げていた。父の背中は涙を必死に堪えるかのように震えていた。
あの父の背中は今でも忘れることの出来ない姿だった。