

僕が小学生の頃、夏休みはいつも祖父母が古いテントと飯ごうを持ってやってきた。
海沿いのオロロンラインはひたすら真っすぐでナウシカの世界が広がっていた。
白いスカイラインが暗がりのキャンプ場に到着した時にはシトシト雨。
7月の稚内はまだ寒くて、僕はどうしてこんな面倒な旅をするのか?飯ごうを洗いながら祖父に尋ねた。
「常在戦場」それが祖父の答えだった。
30年以上経ち、僕にも子どもができた。
直接の被害はなかったが、震災も経験した。
今年の夏は何処へ行こう。
まだ長い休みは取れないけれど、ミニバンにテントを積んで祖父母との夏を思い出す。