「お前達の出来がもう少し良ければ、この居間に飾る賞状も1枚や2枚はあったんだろうけど、ウチには何もないからねぇ。綺麗なポスターや絵でもあったら、持ってきて頂戴。少しはこの居間も華やかになるだろうから」冗談とも本気ともつかない曖昧な表情で、田舎への帰省時におふくろから言われた一言。それから少し経って、コンパクトデジカメでわりと綺麗に撮れた野の花の写真をプリントし郵送したところ、掛かってきたお礼の電話からは思いのほかうれしそうな声色。そんな事をきっかけに始まった「不定期な写真の便り」はようやく10通を数える程になり、この春は近くの土手の菜の花の写真を送ることにした。