

私の忘れられない思い出のひとつに筑波山へのドライブがある。
十年ほど前、私は病気で入院していて、そのあいだずっと病院から出られなかった。そんな私に父が、「退院したら筑波山に連れてってやる。あそこは紅葉がきれいなんだ。お母さんと三人で行こう。」と言ってくれた。いよいよ退院が決まり、待ちに待ったドライブに行くことになった。車の窓に差し込んでくる黄色と赤の色合いが、私のうっぷんをきれいすっきりに晴らしてくれた。目に入るコントラストが脳裏に焼きつく感じだった。車の中で母の作ってくれたおにぎりを食べながら、ゆっくり筑波山の紅葉を楽しんだ。このドライブは私の最高のひとときになった。