毎年夏になると運転好きの父は鹿児島に帰るため、東京から大阪まで運転して、そこからフェリーで鹿児島に帰っていった。必ずBGMはエンヤ。
ずっと早朝から夕方まで高速道路。窓の外は工場か鉄の壁。
しばらくすると、急に広がる田んぼは脳裏に焼けついて忘れない。
大人になっても思い出すあの光景。
去年の12月。 父は急に倒れた。
今年の1月。あれよあれよと先に旅立ってしまった。
生まれたばかりの娘を会わせることができず。
好きなエンヤをたくさん聞かせて、見送った。
もし車手に入ったら、娘にあの光景を見せたい。
東京では見れないあの光景を。