父は筋金入りの雨男。若い頃はツーリングを楽しんでいたが、結婚し、私が生まれてからは車一辺倒になった。母の実家の滋賀県まで、東名高速を走っての長時間ドライブは毎夏の恒例行事で、普段は忙しい父と過ごせる数少ない機会を、いつも楽しみにしていた。
ところが、快晴のドライブ日和と思って出かけても、いつもどこかで物凄い雷雨に遭う。
或る時、大きな鉄橋を渡る手前で凄まじい雨に遭い、空には何本も雷が走り、車内の私達はノアの方舟状態。「雷の時は車の中が安全だ」と言う父の姿に安堵した事を覚えている。豪雨で通行不可となり、解除されるまで車内でしりとりをしたり輪唱したのが、今は亡き父との懐かしい思い出