ドライブ好きの父が、ご機嫌で白の軽を運転していた姿が大好きでした。母が地図を見ながらナビゲーションしていました。大柄な父が小さな車を運転するのは、子供心に悲しくて、「大人になったら白のスカイラインを買ってあげる」と思っていました。朝から雨のなか京都へ出かけた日、急に雨が上がり車内にきらきら陽射しが差し込み澄んだ青い空に、虹がいくつも一度に現れました。その瞬間の幸せな気持ちが、今も忘れられません。今は、歳をとって運転もできなくなった父が口癖のように、「車を運転したいな」というのを聞くたびに、スカイラインを買ってあげるのを忘れていたなと、心の中でつぶやいています。