子供の頃から私の憧れだったスカイライン。それを手にしたのは30代半ば。うれしくて、どこにでも出かけた。素敵な風景に出会った。誰かと一緒にそんな風景を見たくなった。意を決して誘った相手はひと回り年下。とっておきの風景に向け、東名を西へ。牧之原の上り坂。直列6気筒のエンジンは何のストレスもなく、二人を加速してくれた。浜松で降り、浜名湖大橋を渡る。右手は浜名湖。左手に真っ青な太平洋が広がる。バイパスを外れ、海岸にR33を停める。唐突に助手席の彼女の手を握った。驚く彼女の鼓動を感じた。
5年後。大切な場所に再びそのスカイラインで。想い出に少しはにかむ妻。そして無邪気に遊ぶ息子がいた。