新潟で生まれ育った私。中学生の頃、震災で数ヶ月に及ぶ避難所生活のなかで、いつか全国の方々に恩返しをしたいと願った。
そして今私は消防士になり、大阪で家族を持った。家族との時間はとても幸せな毎日だ。それでも時折、故郷が恋しくなり、やり切れない寂しさが押し寄せてくる時がある。
娘が1歳を迎えるその年の夏、私は日産レンタカーでマーチを借り、家族と新潟へと向かった。
大阪から新潟への長旅、ロングドライブでも疲れなかったのは後部座席にある妻と娘の愛しい寝顔があったからだ。久しぶりに見る故郷の景色はあの時と変わらず、優しく私を迎えてくれた。あの日見た故郷の変わらぬ景色を私は忘れない。