

私の父は仕事柄家にいないことが多く、休みの日に「遠くの温泉や観光地に連れていって」なんて申し訳なくて家族の誰も言うことはありませんでした。そんなですから家族旅行なんて、私が小さい頃から全くありませんでした。小さな頃は旅行のお土産を学校に持ってくる友達が羨ましい限りでした。そんな父が、私の誕生日に突然、「明日、日帰りで秋田に行くから」と私と母に言いました。次の日、セレナを飛ばし着いた先は綺麗な日本海と雄大な鳥海山が見える象潟でした。「昔仕事で来て、いつかお母さんとお前に見せたかったんだ」とボソッと言った父の煙草姿とセレナ。家族を背負う世界で一番男らしいコンビだと思いました。