初めて自分で買った車は、赤いエクストレイル。
助手席に誰を一番先に乗せようかはもう決めていた。
離れて暮らす祖母は足が悪く、自分では色々とお出かけできない。納車した翌日、祖母を迎えに行き、よいしょと抱いて助手席に乗せた。祖母の好きな山が見える方へ初ドライブ。目線が高くて景色がとってもよく見えると言って喜んでくれた。『車、おめでとうね』そう言ってお祝いを包んでくれたので、乗車賃高くつかないように何度も乗ってもらわないと!と言って笑いあった。それから何度か乗ってもらったけれど、結局高い乗車賃のまま、おばあちゃんはいってしまった。白い冬山が赤くそまると、初めてのお客さまを乗せたあの日を思い出す。